家賃滞納の時効(消滅時効)について

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ここでは家賃滞納の時効について、民法の観点から解説したいと思う。
なお、家賃滞納は建物賃貸借契約における賃料の不払い、すなわち債務不履行であるが、一般の債権の消滅時効とは違う規定がされている。
一般の債権の消滅時効と、家賃滞納の時効との違いを対比しながら見ていきたいと思う。

結論から言うと、

家賃滞納の時効は、権利を行使することができる時から起算して5年である。(民法169条)

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例えば「毎月末日限りに支払う」という建物賃貸借契約を締結していた場合、
各月の末日の翌日から家賃滞納における時効はスタートして、そのときから5年が経過すると、消滅する。

ただし、家賃滞納の時効は「援用」という裁判上・裁判外の手続きを経なければ完成しない。(民法145条)
つまり、援用さえなければ、家賃滞納の時効は、いってみれば仮の状態になっているわけである。
そこで・・・

家賃滞納が時効にかかっている部分について債務者、つまり、その建物の賃借人から
「いついつまでに支払います。」とか「家賃の一部として●●円支払います。」等を一筆書いてもらうと、時効は中断される。(民法147条)
そして、これら債務の承認があった場合、中断のときから新たに家賃滞納の時効がスタートすることになるわけだ。

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上記の家賃滞納の時効についての、債務の承認の書面だが、できれば
・債務を承認する旨
・日付
・署名押印
最低でもこれらは滞納者からもらっておきたいところだ。

民事訴訟法228条
5項 私文書は、本人または代理人の署名または押印があるときは、申請に成立したものと推定する。

という規定があるので、相手の署名押印があれば、どんな紙でもかまわないわけだ。
チラシの裏とか、名刺の裏とか。

家賃滞納の時効は5年と意外と短いので、消滅時効にかかる前に、内容証明で督促するとか、裁判上の訴えを起こす等の対策をとるのがいいだろう。

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